オートクレンタルを利用して
東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設研究員 大澤崇人氏
東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設助教授 鍵 裕之氏

私たちのグループでは地球深部の化学的な環境を実験室レベルで調べる目的で、高温高圧下での物質の構造変化や物質合成を研究しております。その一環として、地球の進化を考えるうえで重要なヒントをもたらしてくれる隕石(地球のような大型惑星に成り損ねた小惑星の欠片と考えられています)が、隕石の生まれ故郷である母天体の表面でどのような水質変成を受けているかを実験的に調べる研究を行っています。

今回、オーエムラボテック社のオートクレーブ装置をレンタル契約し、250℃、2.8 MPaという条件のもと、鉱物あるいは隕石を水の共存条件のもとで1週間、最長1ヶ月以上水熱変成実験を行いました。私たちは数万気圧程度の高圧条件で物質を扱う経験はありましたが、オートクレーブ装置を用いて水熱合成実験を行うことは全く初めてでした。初心者の我々が、オーエムラボテック社を見学時に受けた説明をもとに実験を行いましたが、特にトラブルはなく、回収試料は赤外スペクトルを測定し、水質変成の様子を見ることができました。

初めは試料を直接反応容器に入れ、イオン交換水100 mlを加えて実験をしましたが、攪拌中に試料が粉々になってしまうことと、一度にひとつの試料しか反応させることができないという理由から、現在では直径2 mmの白金チューブを加工して作った試料容器に試料を封入し、それらを直径3 0mmのサンプルホルダーに固定してまとめて反応容器に入れて実験を行っています。このサンプルホルダーを入れる場合には攪拌棒が邪魔になるので、現在では攪拌棒を取り外して実験を行っていますが、特に支障はありません。

使用方法に関しては非常に簡単で使いやすく作られていると思います。しかし、1つ気になる点もあります。新品を使用した場合に起きる反応容器内壁の化学的な変化です。ステンレスという材質自体による問題ではあると思いますが、かなり黒く変色するため試料への影響が懸念されます。おそらく何度か使用していると酸化被膜が形成されて問題はなくなるものと思われます。

最後にレンタル契約について述べます。我々大学研究者は使用できる研究費の額が限られていますので、備品を購入する際は一大決心が必要です。特に今回の場合は、私たちの経験のなかった装置を購入する必要があったため、購入前に使い勝手などを知ることができたのは大変よいことでした。また、レンタル終了後の購入の場合、割引も適用されました。実質的には最初から新品を購入した場合と大きな差はなかったのではないかと思います。このようなレンタル契約のシステムが広く普及すると我々のような研究者はたいへん助かります。他社や他大学もこの例にならってレンタル契約を進めるとよいのではないかと感じました。